粉製品に対する異物検査の体制を備える必要性

昨今、食品に対する安全性を求める声は年々高まりつつあります。

特に、赤ちゃんは自ら体内に入り込んだ異物への抵抗力は未発達です。そのような対象が摂取する粉ミルクが要求される品質はとりわけ高く、企業側も品質管理の体制を整えることが強く求められます。

では、企業はどのようにして、そうした異物検査の体制を整えていけばいいのでしょうか。

近年、食品に対して安全性を求める声の高まり

私たちが普段口にする食品に対して、「味」が気に入らないために不満が出て、それが世間で話題になるということはそう多くはありません。しかし、食品の品質が問題となってメディアで取り上げられてしまうことはしばしばあります。

マクドナルドにて商品内に、歯のようなものが混入し、炎上してしまった件は記憶に新しいと思います。このように、食に関して求められる安全性は年々高まりつつあり、それに伴い、企業側に求められる努力や責任も増してきています。

SNSの発達が、危機管理のさらなる必要性向上をもたらした

twitterやyoutubeなどが普及した近年、私たちは目の前で起こった事象をすぐさま社会へと拡散する術を手に入れました。それは世界でどこにいても他者と繋がれる利便性をもたらした半面、自己にとって不利益、不都合な事象すらも瞬く間に他者へと知られてしまう危険性をも内在していることを意味します。

どれだけ良い商品を作ろうと、たった一つでも異物混入があれば、もっと言うと、異物混入らしきことがあれば、すぐさまそれが拡散され、企業の社会的信用の失墜に繋がりうるのです。

粉製品が特に高い安全性を要求される理由

赤ちゃんは成人とは異なり、自ら口にするものを選べません。また、入ってきたものに対する消化能力や排泄能力も未成熟です。そのため、特に高い品質や安全管理が求められます。そのような前提があるため、埃一つでも入っていようものなら、社会的に強い非難に晒されることになるのです。

また、仮に混入がないにしても、そのような噂が広まってしまうだけでも企業にとっては命取りになりかねません。前述したように、赤ちゃんという弱い存在を守るべく買い控えられる可能性が強いためです。よって、粉製品を取り扱う企業には高い安全管理の体制が求められます。

企業が整えるべき検査体制

では、どのような異物検査の体制を整えればよいのでしょうか。先ず、従業員自らが異物を持ち込むことが無いよう、生産ラインに入る以前の段階で、空気を吹きかける機械や粘着シートなどを置いておくなどの努力がいるでしょう。

毎回の出入りにこうしたことを要求されるのは従業員にとっては手間でしょうが、こうした地味な取り組み一つ一つが積み重なり安全と消費者からの信頼を形成します。それを踏まえた上で、さらに、人的・物的設備を設けることが求められます。

人の目で見つけられる異物はそこで取り除き、そこで処理しきれないものは機械の力で取り払っていきます。どうしても人間のやることには限界がありますので、導入には費用が掛かるでしょうが、後に起こるかもしれないことへの危機管理としては必要となるでしょう。

近年、資金調達の方法も多様化しており、そこの必要性を具体的に文字に起こして訴え集めることも必要な努力となります。

取引先の理解も必要

また、自分たちだけがどれだけ必要な努力をしようと、関係取引先に瑕疵、つまり落ち度があれば自社の頑張りは水泡に帰すことになります。自社が原材料を担う会社であれば製造先、製造を担う企業であれば反対に生産者。

取引先が、自社が備えたような品質管理を備えてくれているのか、取引を結ぶ際にしっかりと確かめていないのであれば直ちに確認することが求められます。備えてくれているのであれば以後も同様の水準を保ってくれるよう定期的に認識を共有しあえばいいでしょう。

備えていないのであれば今後の取引継続をどうするのか、考えなければなりません。

他の代替的取引先を見つけることができるか、見つけることができたとして、自社の生産ペースや規模、予算的余裕はどうかなど様々な考慮要素を挙げて判断することが求められます。取引を継続するにしても、相手と話す機会を設けて、安全性に対する認識を持ってもらうことが必要です。

相手も企業である以上設備を設ける予算がないという場合もあるかもしれません。それでも、今の社会において、安全管理を備えていないというのは命取りになり以上根気強く話す機会を設け、時には取り引き先を変えることも選択肢として考えねばならないでしょう。

積極的に安全性を発信していく

今まで、SNS等を通じてもたらされる弊害、危険性を挙げてきましたが、本来はこれを利用することによるメリットも非常に大きなものがあります。これを積極的に使用していくことによって自ら安全性を発信していくことも、企業にとっては大事になってきます。

勿論、生産に関するノウハウや企業秘密に類する部分を明かす必要はありません。それ以外で発信しても問題ない生産過程を撮影し、自社のホームページにあげるなどしてみてもいいでしょう。あるいは、従業員がそれぞれ生産において気を付けている点や自社の取り組みを具体的に述べるページを別個に設けてもいいかもしれません。

安全管理に真剣に取り組んでいるんだという姿勢は予防という観点だけでなく、万が一何かあった際の印象にも大きな影響があるためです。だから、アリバイ作り的なものではなく、商品作りに対する真摯な様子をきちんと発信すべきでしょう。

他人事ではなく、起こりうることとして

危機管理の一環として同業他社の事例にとどまらず、世間で起こった異物混入の事件について、アンテナを張り、情報収集することも重要です。世間をにぎわす混入事例が起こってもそれが異業種の場合、大変だなあと他人事で終わることが少なくありません。

こうした時に、関係ないと流してしまうのではなく、自社にも起こりうることだと捉え、積極的に学ぶことによって、自社の安全を高めるだけでなく、情報収集能力を磨くことにもつながります。それは目で見える形ではなかなか報われるものにはなり辛い泥くさい努力かもしれません。

しかし、こうした日々の小さな努力一つ一つが商品の質を、安全性を高め、ひいては会社の信頼を形作ることに繋がります。信頼を築くのは一朝一夕ではままなりません。ですが、前述したようにSNSの発達した近年、失うのは一瞬で済んでしまうのです。

用心してし過ぎることはないでしょう。

参考...異物検査 ... 株式会社 キューサイ分析研究所 > 残留農薬検査、農薬・食品分析、食品検査 - キューサイ分析研究所(QKEN) | 異物検査 | 検査項目